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が、熊を退治するという

Суббота, 21 Октября 2023 г. 17:29 + в цитатник

が、熊を退治するというところに興奮するんだよ」

 

 ひいた。めっちゃひいた。

 副長も、月經量多 子宮肌腺症 わずかに身をひいている。

 

 俊春のかっこわいいの眉間に、皺が刻まれている。 俊春にたいして、『ちっちゃい』は禁句である。

 

 大鳥がいった『プティ』とは、『ちいさい』という意味である。

 

 俊春は、それに反応しているのだ。

 

 それよりも、『子』?

 

 大鳥にとって俊春はお子ちゃまってこと?

 

 年少者はすべて『子』呼ばわりする人はたしかにいる。

 もしかすると大鳥もその類の人で、まったく悪気はないのかもしれない。

 

 かれは、副長にたいする態度をみてもじつにフレンドリーすぎる。

 

「超ウケる」

 

 俊冬がそっとささやいた。

 

 たしかに、草すぎる。

 

 が、『ちっちゃい子』呼ばわりされた俊春にとっては、笑い事ではなく侮辱レベルだろう。

 

「まぁ、興奮するのは勝手だがな。仕方がない。部屋だけですませるのが一番無難じゃねぇか?なあ、土方君?」

「榎本さん、あんたまでなにをいいだすんだ。だったら、おれはこのあとどうすればいい?」

「おれの部屋にくればいい。ともに書類仕事ができるじゃねぇか。どんなことでもすぐに話ができるしな。それから、たがいをしることができるってことも魅力的だ」

「あ、ずるいな。だったら、ぼくの部屋でもいいよ。ぼくの部屋も、わりとひろいし」

「はああああああ?」

 

 榎本と大鳥にいじられ、真っ赤なって興奮する副長がざまぁ、いや、かわいすぎる。

 

 しかも、野次馬士官たちは「この三人、BL関係だったのか?」ってでささやきあっている。

 

 副長のことがますますざまぁ、あっいや、気の毒になってしまう。

 

「くそっ!ぽち、室内にとどめろ。被害は最小限にな」

「承知」

 

 副長は、ふっきれたらしい。

 ってか、どーでもよくなったんだろう。

 

「なに?ぽちは、熊を殺るわけ?」

 

 腕組みをして様子をみまもっている俊冬にそっと尋ねてみた。

 

 というのも、以前、甲府に進撃した際に近藤局長や副長の故郷の日野に凱旋したことがあった。そのときに、俊春が熊を仕留めたことがあった。しかも、素手である。

 

 それは兎も角、かれは熊を仕留める際に躊躇したらしい。その躊躇が仇になり、かれは腕に怪我をしたのだ。

 

 心やさしいかれは、はいうまでもなく動物を殺ることにも抵抗があるようだ。

 それがたとえ、喰うためであったとしてもである。

 

 そのかれが、いまここで熊を殺れるのか?

 

 さきほど俊冬に尋ねたのは、そのことがあったからである。

 

「きみ、「ゴールデ○・カムイ」をしってるよね?」

「ああ、よんでた。なにせ、副長と永倉先生がでてくるからね。それは別にしても、ああいうストーリーはイケてると思うよ。ってか、きみらアニオタか?めっちゃしってるじゃないか」

「だって、ジャパンをしるにはジャパニーズ・アニメやコミックだろう?」

 

 返す言葉もない。そのとおりだからだ。

 

「あの世界観だよ。穴持たず、アイヌ語でマタカリプの熊は凶暴だ。アイヌの人たちも狙っている。このまま見逃しても、おそかれはやかれアイヌの人たちに仕留められる。ではないけれど、ここで仕留めた方が熊にとってもにとってもいいかもしれない」

 

 俊冬は、そういいつつ両肩をすくめた。

 

 俊春ほどではないが、俊冬もまたどんなものにせよなにかのを断つことに抵抗があるのだ。

 

 かれらは、これまでさまざまな事情はあれどおおくのを奪ってきた。だからこそ、だれよりもその尊さや大切さをしっている。

 

 そんなことをかんがえつつ、俊春をじっとみつめた。

 

 かれはまず、相棒になにかいった。すると、相棒は四肢を踏ん張り低くうなりはじめた。

 

 その地をはうようなうなり声は、ひさしぶりにきく。

 

 容疑者などが暴行におよぶ際、威嚇することがある。そんなときのうなり声は、うなられる側にすればいまにも飛びかかられそうな不気味さと怖ろしさがある。それだけではない。うなり声には、牙で八つ裂きにされてしまいそうな凶暴さもふくまれている。

 

 たとえや刃物といった武器をもっていようと、恐怖を抱いてしまう。

 

 相棒のは、そんな怖ろしいものである。

 

 俊春は、ずぶ濡れの軍服から水をしたたらせつつ、ゆっくりと部屋のうちへと歩をすすめた。

 

『ガタッ!』

 

 部屋のなかからおおきな音がした。

 

 おそらく、長椅子かテーブルかがどうにかなってしまったのだろう。

 

 その音以降は、静けさがもどってきた。

 副長の部屋から、なんの音もきこえてこない。

 

 時間にすれば、おそらく数分であろう。二、三分くらいかもしれない。

 

 相棒がうなるのをやめ、体勢をフツーにもどした。と同時に、部屋のなかから俊春がでてきた。

 

 かれは、部屋のなかに一瞥くれた。それから、こちらにあるいてきた。

 当然、相棒はその左脚許にくっついている。

 

 ちかづいてくるかれが、右の掌になにかもっていることに気がついた。

 

「仕留めたのかね?」

 

 大鳥が尋ねた。能天気なかれも、緊張している。

 

 いや、大鳥だけではない。おれもふくめた全員の間に緊張がはちきれんばかりに満ちている。

 

 俊春のかっこかわいい


 

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